FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を治療しない・治療を中断するとどうなるの?
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症を発症した患者さんが、通院や薬を飲むことを中断したり、なかなか診断がつかず治療できないでいると、様々な問題が現れます。
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FGF23関連低リン血症性くる病を治療しない、もしくは、治療を中断すると
必要な治療を受けない、もしくは、中断すると、骨の石灰化(骨を硬くすること)が妨げられるため、骨を強くすることができず、O脚やX脚といった下肢の変形や、歩行障害(転びやすい)がよりひどくなることがあります。中には、治療の中断によって骨が弱くなり、骨折がおこり、障害が残ってしまうこともあります。
他には、歯の表面にあるエナメル質や内側にある象牙質(図1)がうまく形づくられなくなるため、むし歯になりやすく、歯肉膿瘍(歯ぐきが赤く腫れたり、膿が出たりする)がみられたりします。くる病の治療と併せて歯の治療を行わないと再発や症状が悪化して抜歯にいたることもあります。
図1 歯の断面図
FGF23関連低リン血症性骨軟化症を治療しない、もしくは、治療中断すると
骨軟化症の主な症状は、骨の痛みや骨折(偽骨折[骨を横断しない骨折])、筋力低下です。必要な治療を受けない、もしくは、中断すると、これらの症状は悪化していき、ひどくなると食事や着替え、移動といった日常生活動作が行えなくなってきます。症状が重症化する患者さんも中にはいて、そのような患者さんでは車いすを利用しなければならなくなったり、寝たきりになることもあります。
骨軟化症でもむし歯や歯肉膿瘍はみられますので、歯の治療と併せて骨軟化症の治療を受けることが大切です。
くる病・骨軟化症いずれの場合でも、早期診断・早期かつ継続的な治療が重要です。
診断については「くる病・骨軟化症の診断」、治療については「くる病・骨軟化症の治療方法」をご覧ください。
継続的な治療が大切
この疾患は、FGF23というホルモンの過剰な分泌が原因です。X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH*)のような、遺伝性のくる病・骨軟化症で治療が必要な患者さんでは、生涯にわたって診療を受けることが重要です。症状が落ち着いたからといって自己判断で治療を中断してしまう、もしくは、通院を止めてしまうと、せっかく治まっていた症状が再発することもあります。子ども時代に適切な治療を受けること、また、その治療を成長期を過ぎた後もどうすれば継続できるかなど、専門医とよく相談していきましょう。
*XLH:X-linked Hypophosphatemic Rickets/Osteomalaciaの略称
この記事の監修ドクター
長谷川 行洋先生
- 東京都立小児総合医療センター 内分泌・代謝科 医師
- 多摩北部医療センター 小児科 医師
伊東 伸朗先生
- 東京大学医学部大学院医学系研究科 難治性骨疾患治療開発講座 特任准教授(研究室HP)
- 東京大学医学部附属病院 骨粗鬆症センター 副センター長